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大畑駅 (読み:おこば)
 明治42年(1909年)11月21日信号所として開業
 同年12月26日旅客扱い開始/無人駅/木造駅舎/便所有り
■人吉駅へ/矢岳駅へ


設置場所に難儀した駅
 鹿児島本線(現在の肥薩線)が人吉経由で建設されるにあたり、もっとも難所となったのが、人吉〜吉松間です。
 前代未聞の山岳鉄道工事には、当時の鉄道建設技術の全てが注ぎ込まれています。
 最初の難関である大畑ループは、山を一回りして勾配を緩和し、さらに標高が上の矢岳駅へと続いています。
 緩和したと言っても30.3パーミルと、当時の蒸気機関車が列車を牽引して登るにはほぼ限界に近い坂道となっています。
 このループ線を登るにあたり、普通はループ線の前に休憩基地となる駅や信号所を設置します。ですが、その設置出来る土地が用意出来なかった為、ループ線に差し掛かかって直ぐの場所にスイッチバック形式で駅を設置したのです。
 こうして、厳しい山岳地帯に日本で初めてのループ線とスイッチバックの複合駅が誕生しました。
 現在では、列車も結構な勾配を登れるようになったので、この様な複合駅は採用されていません。
 この大畑駅は、日本初で唯一の「ループ線の途中にあるスイッチバック駅」となっています。

 蒸気機関車全盛期の頃は、重要な鉄道設備として多くの鉄道員が働く駅でした。駅構内には官舎もあり、駅前には売店もありました。
 そして、昭和2年(1927年)10月17日、海岸線沿いに新たに鹿児島本線が設置されてからは肥薩線と呼称を改め、そのままローカル線お決まりの利用客衰退の一途を辿ってゆきます。

 時代は変わり、過去の鉄道の難所は観光路線として生まれ変わりました。
 現在では一日二往復の観光列車「いさぶろう」「しんぺい」が、今でも変わらぬ素晴らしい車窓を楽しむ為に走っています。

沿線観光地
 その特異な駅構造の為、大畑駅とループ線が観光名所となっています。
 列車で訪れる際には、途中下車されるよりも、一本の列車でスッチバックとループを一気に乗り通した方が楽しいです(駅を紹介している立場としては、ちょっと残念ですが…)。
 他には、駅より約1km程の所に大畑梅園があり、2月中旬から3月上旬まで梅の花を楽しめます。
 また、ちょっと歩きますが、駅から約3.5km程の所に大野渓谷があり、四季折々の自然美を堪能出来ます。こちらは健脚の方か、車やバイクでお越しの方向きですね。

大畑駅の写真
赤い峠越えの列車
大畑駅へ到着した観光列車です。
一日二往復の全車指定席の普通列車ですが、区間乗車のお客さんの為に、ちゃんと自由席部分が設定されています。
よく人吉駅や吉松駅で、「いさぶろう・しんぺい号は全車指定席です。指定席券をお持ちで無い方はご乗車出来ません。」と案内しているのは大間違いですね。
自由席部分
2号車の端っこに、7人分のロングシートで構成されている自由席部分があります。
1号車の運転席すぐ後ろにも、「地元の方の通院専用席」があります。
大畑駅出発
これから矢岳へ向けて出発するいさぶろう3号を見送っています。
駅舎と駅前
駅前はご覧の様に何もありません。
駅舎は開業当時からある立派な物ですが、鉄道設備以外に建築物がない駅前ってのが田舎的でいいですね。
駅名表(1)
駅舎入口に掲げてある駅名表です。
肥薩線にはこのタイプの駅名表が多いですね。
待合室
簡素で広い待合室です。
掲示板には訪問者の名刺や使用済みの切符、写真等様々な物が貼られています。
実は、このきっかけを作ったのは私と稲ちゃんだったりします…。ごめんなさい。
掲示板(2)
改札口に掲げてある掲示板です。
九州新幹線開通後、肥薩線もレトロ風味で売り込んでいますが、何でもかんでもレトロにすればよい物では無い気にさせる駅名表です。
掲示板(2)
開業当時からある駅名表です。
修理が出来ないのか面倒なのかは知りませんが、夜になっても灯りの点らない駅名表です。
駅全景
進入口から見た駅全景です。
駅名表(4)
平成5年(1993年)の台風で倒れてしまった国鉄時代からある駅名表に代わって設置された、JR九州型の駅名表です。
描かれているイラストは、大畑梅園のイメージです。
乗り場案内
昔は急行「えびの」が大畑駅に停車していました。
宮崎方面と熊本方面の明記が、急行走行時代の名残です。
朝顔水
大畑駅開業当時は蒸気機関車が列車を牽引していました。
トンネルが多い山岳地帯では、窓から煙が入り込み、簡単に汚れてしまいます。
そこで、その手や顔に付いた煤等を落とす為に、この朝顔水が設置されました。
名前の由来は、その器が朝顔の花の形をしているからです。
覗いて見ると
「この水は飲めません」の看板通り、藻がいっぱいで飲む気になれないかもしれません。
昔は屋根があって、水も飲めたのですが、平成5年(1993年)の台風で屋根が壊れてからはこの状態です。
ただ、水は冷たくて顔を洗うと気持ちがいいです。
駅舎とホーム
ホーム側から見た駅舎です。
この構造ですと、1番ホームに列車が到着してからでは、ホームに渡れず列車に乗れません。
でも、現在は単行もしくは2両編成ですので、そんな心配は要りません(汗)。
給水塔と大きな木
蒸気機関車の休憩基地として使われた大畑駅だけあって、給水塔も立派な物が建っています。
写真真ん中の大きな木は、私が初めて訪れた平成4年(1992年)以前から立っていました。
手前の気は、平成5年〜7年(よく覚えていなくてすみません)頃に植樹されたものですが、かなり大きく成長してきました。
給水塔内部
平成16年(2004年)以前までは内部に給水機器類が残っていましたが、今ではご覧の通り片づけられています。
花壇
おそらく花壇跡だろうと思われる場所に「JR」と煉瓦で書かれています。
記念碑
駅とループ線の間に、難工事だったループ線の完成を記念した石碑が建っています。
建設には多くの外国人労働者が携わったという話もあり、一説には慰霊碑だとも言われています。
平成17年(2005年)5月17日 しいさん撮影

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平成17年(2005年)5月30日公開